核発射に対して、地下鉄に避難することは正しいのか?核シェルターとしての地下鉄の安全性を検証してみた
訓練とはいえJアラートの警報音がスマートフォンから鳴り響く物騒な時代です。
実際に核弾頭が発射された場合、私たちはどこに逃げ込めば安全なのでしょうか?
地下鉄は核シェルターとして使えるのでしょうか?
Contents
地下鉄は核シェルターになりうるのか?
もし核攻撃が行われた場合、どこに逃げ込むのが一番安全でしょうか?
本来は核攻撃を想定した核シェルターに避難するのが一番安全です。
しかし、日本の核シェルターの普及率はわずか0.02%。
現実的に考えて核攻撃時に逃げ込める公共施設の中で一番安全なのは地下鉄です。
何故、地下が安全なの?
本来、爆弾は横方向に力が働き、下の方向にはあまり威力が及ばない性質を持っています。
(横方向に力を働かせるほうがより広範囲の人、物を殺傷、破壊することができるため)
また放射能の量も地上に比べて1万分の1とかなり低い量となります。
実際に1945年の広島での原爆投下時に爆心地からわずか170メートルにも関わらず鉄筋コンクリートの建物の地下1階にいたため命が助かった野村栄三さんという方がいらっしゃいます。
野村さんは昭和57年に亡くなるまで健康に過ごされたそうです。
ビルでは駄目なの?
コンクリートでできている窓のない建造物内の放射能量は屋外の200分の1とされています。
200分の1ということでかなり安全なような気がしますが・・・
これは「窓がない」ということが前提であるということにご注意ください。
放射能は窓を簡単に突き抜けてしまいます。(そもそも核弾頭投下直後に粉々に砕けてしまいます)
窓がないビルというのも現実的に考えにくいと思うのでやはり地下鉄に退避するのが一番安全でしょう。
しかし爆発時の閃光や衝撃から身を守るためにビルを活用するのは有効です。(本記事で後述します)
世界で一番安全な地下鉄
ロシアのモスクワ市にある地下鉄は地下鉄自体が核シェルターとなっています。
まず驚くべきはその深さ。
なんと84m!
東京都で一番深い地下鉄である六本木駅で42mなので、その深さは約2倍。
深さだけでなく構造自体も核弾頭が落ちてくることを想定した作りになっています。
モスクワ47駅すべてに彫刻や絵画が展示されていますがこれはロシアの貴重な重要文化財を守るためです。
また地下鉄に避難してきた人たちの圧迫感を少しでも軽減するために天井に空が絵が描かれている場所もあるそうです。
安全とされる地下鉄の駅はどこ?
放射能から安全を確保するために逃げ込む場所は地上より深ければ深いほどよいとされています。
それでは東京都内で深い地下鉄はどこでしょうか?
1位→六本木(42.3m)
2位→東中野(38.8m)
3位→国会議事堂前(37.9m)
4位→後楽園(37.5m)
5位→新宿(36.6m)
というような結果となりました。
1位の六本木駅ですがこれはなんと建物10階分の深さに相当します。
ここまで深いと放射能からの安全性もかなり高いでしょう。
地下鉄へ逃げ込むタイミングはどうすれば良い?
それでは核爆発から地下鉄へ逃げ込むタイミングはどうすれば良いのでしょうか?
地上にいるときに攻撃を受けたことを想定してお伝えします。
まずJアラートが鳴ってから実際に着弾するまでが最大3分間です。
「そんなに短いの!?」とお思いになられる方がほとんどだと思いますがこの3分間が生存の大きな分かれ目となります。
核攻撃の被害の9割が爆発時の閃光と衝撃波です。
この閃光と衝撃波からまずは安全を確保しましょう。
屋外にいるなら即刻建物に入りましょう。
なるべく放射線を通さない鉄筋コンクリートの建物がベターです。
建物の中に入ったら伏せて衝撃に備えます。
このときはなるべく窓ガラスから離れてください。
爆発時の衝撃で粉々になりガラスの破片が体に突き刺さるのを防ぐためです。
閃光と衝撃波から身を守ることができたらより安全な地下鉄(もしくは地下室)に避難しましょう。
全力ダッシュで5分以内で地下鉄に行けるのであれば即刻移動しましょう。
地下鉄に行くのに5分以上かかるのであれば1時間、建物の内部に留まってから移動してください。
1時間で屋外の高濃度放射性降下物の大部分の濃度は下がります。
どちらにせよ屋外は放射能で大変危険な状態です。
地下鉄までの移動は迅速に行ってください。
少しでも放射性物質の付着を防ぐために衣類等で体の露出を最低限にしてください。
またこのときに絶対に雨に濡れないようにしてください。
この雨は通称「黒い雨」と呼ばれ放射能を多量に含んでいます。
地下鉄から出るタイミングはどうすれば良い?
それでは無事に地下鉄に移動できたと仮定します。
一体、どれくらいの時間が経過してから地下鉄を出れば良いのでしょうか。
大体2週間が目安とされているようです。
2週間経てば屋外の大気の汚染は2000分の1になります。
2週間一体どうやって生存するんだとお思いになれる方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし、2週間が過ぎるまでは外は核による大気の汚染で大変危険な状態です。
絶対に屋外にでてはいけません。
2週間が過ぎるまでに救助隊が助けに来てくれる可能性もあります。
最後まで諦めずに頑張りましょう。
最後に
日本の核シェルターの普及率はわずか0.02%です。
つまり地下鉄は日本に核弾頭が落ちたときに身の安全を守れる実質的な核シェルターです。
全面的な核戦争の可能性は少ないかもしれませんが、一体いつどのようなきっかけで核戦争が始まるかは分かりません。
普段から地下鉄の場所をよく把握し、いざというときをザッとでもいいのでイメージトレーニングをしておく。
そんな小さなことがもしものための身の安全の確保に繋がります。
最後にこのような知識が役に立つことがない核のない安全な世界が形成されることを心より祈ります。