パキスタンの核開発問題を分かりやすく解説してみる

現在、色々な国が「核の無い世界」をめざし条約の締結などを行っていますが、一度核を持ってしまった国はなかなかそれを手放すことが出来ない状態にあります。現在、核を保有・開発している国は北朝鮮だけではありません。核保有国は現時点で十か国もあり、核を保有している疑惑のある国を含めると、その数はさらに増えてしまいます。

パキスタンは核保有国のひとつで、1998年に最初の核実験を行いました。パキスタンは南・中央アジアと中東の間にあるイスラム国家です。中国、インド、アフガニスタンと国境を接しており、古くから多彩な文明が栄えた国です。

しかしパキスタンは、インドとの激しい対立をきっかけに核開発をはじめ、現在も情勢が安定していません。今回はパキスタンの核開発についての歴史を踏まえ、現状や課題についても分かりやすく解説していきます。

 

パキスタンの核開発の歴史

パキスタンは日本の約二倍の国土を持ち、1億6000万人ほどの人々が住む自然豊かな国です。パキスタンの核開発に関する歴史をひも解くには、インドとの長年にわたる対立関係を知ることが必要になります。

 

カシミール帰属問題

パキスタンはもともと英国領インドの一部でした。しかしパキスタン周辺にはイスラム教徒が多く、ヒンズー教徒が多いインドが英国から独立するのと同時期にパキスタンとして独立を果たしました。

パキスタンには様々な民族が暮らしていますが、イスラム教を信じる者同士というつながりを持つことでひとつの国家になりました。

しかしインドとパキスタンの国境付近にあるカシミール地方にはイスラム教徒とヒンズー教徒が暮らしています。パキスタンとインドが独立し、別々の国になったことで、カシミールをインドに帰属させたいと願うヒンズー教徒と、パキスタンに帰属させたいと思うイスラム教徒の間で対立が起こり、その対立は現在まで続いています。

このカシミール帰属問題がきっかけとなり1948年に第一次印パ戦争が勃発しました。この緊張状態は第二次、第三次の印パ戦争を経てもなかなか収まらず、対立の中で新たな独立国、バングラディシュが成立しました。

 

インドの核実験が核保有の引き金に

印パ戦争によって大きくなってしまったインドとパキスタンの対立は治まることがなく、この対立のさなかにインドが地下核実験を行ったことで大きな国際論争となりました。

インドは中国を意識して核実験を行ったとされていますが、これを知ったパキスタンが対抗して地下核実験を開始。これがパキスタンの核開発のきっかけとなってしまいました。

インド、パキスタンは、共に現在も包括的核実験禁止条約(CTBT)、核兵器不拡散条約(NPT)を締結していません。政治・経済情勢が不安定な国が核を保有してしまうと、核兵器が使用される可能性が高まってしまいます。現在パキスタンはカシミール帰属問題に加え核保有の問題も抱えることになってしまったのです。

 

パキスタンの核開発の現状と問題

核保有国となったパキスタンですが、インドとの対立は現在まで続いています。パキスタンの核開発、独立をめぐる問題は現在どのようになっているのでしょうか。

パキスタンは現在も核実験を行わないという内容の条約を批准しておらず、再び緊張関係が高まれば核実験が行われてしまう可能性もあります。パキスタンの現在の状況や課題について確認し、核開発、核実験が起きてしまう背景を見ていきましょう。

 

現在のカシミール帰属問題

現在もカシミール帰属問題は続いています。2015年にはカシミール地方で武装グループがテロを起こし、一般市民を含む8名が犠牲となりました。

またその後インドとパキスタンが銃撃・砲撃の応酬をし、少なくとも市民4人が死亡するという出来事もあり、少しずつ問題解決に向けて歩み始めていた両者の信頼関係が崩れてしまいました。

第三次印パ戦争以降もカシミール地方でイスラム過激派が何度もテロを起こしており、数万人がテロの犠牲になったと伝えられています。このテロに関しては単にインドとパキスタンだけの問題ではなく、タリバンやアルカイダなどイスラム過激派団体も関与しているとも言われており、解決への道のりは遠くなりそうです。

 

現在のパキスタンの問題

現在、パキスタンはこの不安定な政治情勢に加え、経済面での問題も発生しています。2008年以降、深刻な経済危機に陥ってしまったパキスタンでは貧困に苦しむ人が増えてしまいました。最近は再び落ち着きを見せていますが、また経済状況が安定しなくなると貧困の拡大や社会開発の遅れが出る可能性があるとして、世界各国がパキスタンへの支援を行っています。

日本も1954年にパキスタンへの経済協力を開始し、幹線道路やトンネルの建設を始めとした社会インフラ支援を行っています。しかしいまだに核開発問題などに対する具体的な解決の糸口は見えず、今後も支援を継続して行っていく必要があると考えられます。

 

パキスタンの核開発問題まとめ

いかがでしたでしょうか。日本では報道の少ないパキスタンの核開発も問題ですが、その背景にはインドとの長年の対立があると分かりました。核のない世界に向けて、一つ一つの問題を解決していく姿勢が今後も求められています。