イランの核開発問題の歴史を分かりやすく解説してみる

2018年現在、世界では未だに核兵器開発が進められています。アメリカのオバマ元大統領は、「核兵器のない世界に向けて、具体的な措置を取る」と演説の中で名言し、これはプラハ演説と呼ばれ、非常に大きなニュースとなりました。

アメリカが各国に対して核兵器の軍縮を推し進めるというものですが、しかし結局、当のアメリカでさえ核を完全に放棄する姿勢は見せませんでした。

そして、先進各国のような大国はもちろん、経済的・政治的に劣る小国にも核保有の動きはとどまることがありません。

そして日本でも一際大きく報道されているのが、イランの核開発問題です。

 

イランの核開発の歴史

第二次世界大戦終結後、核兵器を保有している5大国(アメリカ・旧ソ連・イギリス・フランス・中国)以外は、新たな核兵器の開発や保有を禁止する条約が締結されました。これを「核拡散防止条約」といいます。しかし、核兵器は作らなくても原子力発電はしたいという国はでてきますので、そうした国は、絶対に核兵器は作ってはならないという約束と、定期的な厳しい査察のもと、原子力発電をする国際的な許可を得るのです。そしてその査察は、国際原子力機関(IAEA)に委ねられることになりました。

イランの核開発は、第二次大戦終了後にアメリカの主導によって開始されました。

これは「平和のための原子力計画」という「原子力を兵器ではなく、平和のために使っていこうじゃないか」という計画に端を発します。

こうしてイランは、原子力発電のための核開発に着手することとなりますが、次第に「イランが核兵器開発をしているのではないか」という疑念の声が上がるようになります。これはIAEAに対してイランが、ウランに関して核開発計画を申告しなかったことがあったためです。原子力発電は、転じて核爆弾の開発にも用いられる技術であるため危険視したのです。

当初IAEAは、イランに対して核開発の停止を要請していましたが、イラン側はあくまで平和目的による核開発であるため問題ないと表明。IAEAは、イランが核兵器開発に向けた実験を繰り返しているとして、国連安保理に報告書を提出。大きく非難しました。そしてイランに対して国際的な経済制裁を加えることとなったのです。

 

イランと日本の関わり

イランは世界でも有数の石油の産出国であり、日本とも長く友好関係を築いてきた国です。日本の石油の15%はイランからの輸入でした。またイランのエネルギー開発分野への投資も行っていましたが、イランへの経済制裁に同調せざるを得ず、日本でも対応が必要となりました。そして、イランの銀行との取引を制限、イランのエネルギー開発への投資を禁止、イランの核開発計画に携わることの禁止、またイランへの石油依存を20%減らすなどの経済制裁を加えました。

しかしこうしてイランとの貿易を制限することは、我々国民の生活にも大きく関わってくるのです。例えば原油価格高騰。つまりガソリン価格の高騰であったり、それに付随して様々な日用品の価格高騰も起こります。決して他人ごとではない事態が今なお続いているのです。

 

イランの核開発の現状と問題

イランの核開発は、現在大幅に制限されています。これは経済制裁に加え2015年に締結された「イラン核合意」によるものです。イラン核合意とは、イランが核開発を大きく制限される変わり、経済制裁を緩和するというものです。その後IAEAの査察においても、イランが不正に核開発をしているという事実はなく、合意事項に遵守していることが確認されています。しかし、大幅に制限されているとはいえ、年間で1発は核爆弾を製造できるだけの能力は有しており、これにイスラエルなどの近隣諸国は猛反発している状況です。

 

イラン核合意とアメリカ

2018年5月、アメリカのトランプ大統領はイラン核合意からの離脱を表明しました。

トランプ大統領は以前から「核合意がイランの武装を完全に解除するものではない」として批判的な姿勢を貫いていました。核合意国であるフランス、イギリス、ドイツ各国の首脳陣は、この表明に遺憾の意を示しました。さらにオバマ前大統領も、核合意は十分に機能しており、この選択が大きな過ちであると発言しました。イランのロハニ大統領は、合意内容を完全に遵守していたにも関わらず、アメリカの対応は理解できないとして、これを批判しました。

今再びアメリカの経済制裁が始まろうとしています。アメリカは、同調しない諸国には同様に制裁を与えると明言しており、日本も何かしらの対応を考えなければなりません。

 

イランの核開発問題のまとめ

イランの核兵器開発をめぐって、長年各国が論争を重ね、ようやく核合意という形で一応の収束を見せていました。しかしトランプ大統領はあえて逆風を送り込んだのです。核合意についての欠点を批判はすれど、代案が示されることはありませんでした。結果、中東の緊張状態が悪化し、同盟諸国間でも外交が対立する様相を呈しています。

北朝鮮という大きな脅威がそびえたつ今、中東にまで手を伸ばす真意はどこにあるのか。核廃絶の先にある真の平和は、まだはるか先のようです。