日本の核シェルターの普及率は0.02%!?世界と比べた日本の危うさ

世界地図

2018年6月12日、米朝共同宣言が採択され、北朝鮮の完全非核化への第一歩が踏み出されました。しかしながら先行きは未だ不透明で北朝鮮による核の脅威は払拭されたわけではありません。核攻撃から身を守るには「核シェルター」以外にはありません。しかし日本ではその普及率はタイトルにもあるように0.02%しかなく現状への危機感は大変薄いとしか言いようがありません。そこで他の世界各国の核シェルターの普及率と比較しその必要性について見ていきましょう。

世界各国の核シェルターの普及率

初めに世界各国、特に核保有国と言われる国を中心に核シェルターの普及率をまとめて見てみました。

国名普及率
韓国(ソウル)300%
イスラエル100%
スイス100%
ノルウェー98%
アメリカ82%
ロシア78%
イギリス67%
日本0.02%

このように各国の核シェルターの普及率は大きく差があります。特に日本の普及率が格段に低いことが分かります。なぜこのような差が生まれてしまったのでしょうか?国別の核シェルターへの姿勢の違いを確認してみます。

韓国

韓国、特にソウル市内には核シェルターが1038箇所に設置されており、核シェルターの普及率は300%に達します。北朝鮮からの核攻撃への危機感が強いことの表われでしょう。

また地下シェルターは地下鉄と共用され、コンビニをはじめ生活に必要な品々が調達できるようになっています。

イスラエル

イスラエルは常時アラブ諸国との紛争にさらされているため、有事の際の対応は完璧になされています。特に湾岸戦争を機に一層充実され、公共施設はもちろん各家庭にも設置が義務付けられ設置にかかる費用は免除されています。

スイス

永世中立国宣言をしているスイスは、その体制を維持するために様々な対策を実施しています。民間防衛の名の元に、武装中立を目指し国民全員が民兵と言っても過言ではない程、定期的に軍事訓練も行われています。

以前は、自宅の地下に核シェルターを設けることが核シェルターの設置は法律で義務付けられていました。しかし、核シェルターの建設費の大部分を政府が負担しており、政府の財政を圧迫していました。

そのため、2012年に法改正され、核シェルター設置の義務をスイス国民は追う必要がなくなりました。ただし、核シェルターを設置しない場合は、自治体に1500スイスフラン(約19万円)を支払い、最寄りの公共シェルターに家族全員分のスペースを確保することが必要です。こうして、政府の財政を圧迫しない形で、核シェルターの普及率を維持することが可能になっています。

こうした政策により、スイスでは、一般家庭だけではなく、各公共施設の地下などにある核シェルターを含めると、30万基以上の核シェルターが設置され、人口約800万人の114%、つまり国民全員以上の収容が可能となっています。

ノルウェー

ノルウェーを含む北欧3国は学校、公共施設には核シェルターが設置されています。紛争とは縁のない国々と思われがちですが常に最悪の事態に備えているようです。

アメリカ

アメリカが世界一の核保有国であることは周知の事実です。それは他国から核攻撃されるリスクも高いと言う意識の表われです。特に同時多発テロ以降危機感が高まり、長期滞在可能な大型核シェルターの普及率が高くなっています。そうした大型核シェルターは第二の自宅として捉えられています。

ロシア

ロシアは冷戦時代から核攻撃に備えた設備を整えています。例えばモスクワの地下鉄全てが核シェルターとして使えるようになっていて、地上からの深さは84mほどあり、日本の地下鉄の最深部の約2倍あります。また、地下鉄には重要な文化財なども保管されています。

イギリス

イギリスは公共の場に核シェルターは設置されていませんが、地下鉄自体がシェルターになっています。またサッチャー政権時代に「protect and survive」と言う冊子を発行し、その中で各家庭の一番奥まった部屋を核シェルターとし最低48時間滞在出来るための備蓄方法等を解説するなど、政府が核シェルターの普及を後押ししています。

世界と比べた日本の核シェルターへの姿勢

他国と比較して、なぜ日本の核シェルター普及率は低いのでしょうか?世界で唯一の被爆国であり8月6日広島、8月9日長崎では毎年平和式典が開催され、また核実験が行われた際には抗議行動も行っています。ただ、そうした核に対する危機感を持っている市民は一握りであり、国全体で見ると、核攻撃に対する危機感が非常に低いのが現実です。「まさか核ミサイル落ちることはないだろう」というのが日本国民の共通認識であり、Jアラートさえ知らない市民が多くいます。その結果が、核シェルターの普及率の低さに表れています。戦後70余年が経ち、平和であることが前提の暮らしに慣れてしまっているのでしょう。

また、日本での核シェルターの普及率の低さは、日本の住宅や経済事情も関係しています。土地が狭いために余分なスペースもない、木造主体の日本家屋はシェルターには不向き、金銭的余裕がないなど、核シェルターの設置を躊躇させる様々な問題を抱えています。

日本人が核シェルターを持つメリット

このように一般的な日本人にとって必要性を感じにくい核シェルターではありますが、北朝鮮問題など、昨今の国際情勢を鑑みるに、核シェルターを可能な限り、早期に設置するべきだと考えています。実際に核シェルターがどういうものなのか、その値段や設置方法について解説します。

核シェルターは空中で爆発した核ミサイルからまき散らされる放射性物質や爆風、閃光などから身を守るための設備です。直接被害を受けるのは爆発中心から半径2~3.5kmとされていますが、核ミサイルがどこに落ちるのかは直前にならないと分からないので、最善の準備は必要となります。

国内では織部精機製作所が長期滞在核シェルターを販売しており、13人用の部屋で2,500万円なので一人当たり約200万円。この値段は設置する換気システムの数によって変動するそうです。輸入製品としてアメリカのライジング・Sという会社の製品で6畳タイプで約500万円で輸入費用や設置費用は別途となっています。

また簡易核シェルターとして家屋の一部を改装し、エアコン型の空気清浄機を設置する方法もあります。これだと換気装置が180万円プラス改装費で済みます。

日本では、現状ではこうした核シェルター設置にかかる費用の税制上の優遇措置はありません。価格自体一見高そうに感じますが、空気清浄機のフィルターのメンテナンスだけしておけば、半永久的に使えるので長期的に考えると、決して高いものではありません。また地震をはじめとする自然災害にも有効なので設置するメリットは高いと言えます。

北朝鮮からのミサイル飛来の危険性はまだまだ要注意圏内にあります。核施設の破壊映像も流されましたが、既にその施設は稼働しておらず、北朝鮮の単なるパフォーマンスであったと言われています。そのため、アメリカなどの大国との交渉力を保持し続けるために、北朝鮮が核ミサイルを手放す可能性は低いと言わざるを得ません。また、北朝鮮がこれまでに製造した大陸間弾道弾の数やその処置に関しては不明であり、ふとしたきっかけで日本へ核ミサイルを発射することもありえます。

このように北朝鮮からの脅威は消えていない現状において、核シェルターの必要性は非常に高いです。しかし、その危機感を国民一人ひとりが持つまでに至っておらず、核シェルターの普及率は世界各国と比較して、異常に低い状態です。改めて核シェルターの必要性をご家族と検討されてみてはいかがでしょうか。